統合失調症
統合失調症は、幻聴や妄想といった症状が特徴的な精神疾患で、多くは思春期から青年期に発症します。これは脳の神経ネットワークにトラブル(脳内のドーパミンの異常放出)が生じることで起きる脳の機能障害であり、100人に1人の割合で発病すると言われています。発症の仕組みですが、ストレスに対する脆弱性が先天的にある方に発症しやすいと言われ、そこに心理的負荷が限度以上にかかることで、脳内の神経系に異常をきたして起きるのではないかと考えられます。
症状について
統合失調症にはいくつかの症状がみられますが、代表的なものとして「陽性症状」と「陰性症状」、および「認知機能障害」があります。
陽性症状
現実には無いものをあるように感じたり、存在しない声が聞こえたり、あり得ないことを信じ込んだりする症状を言います。具体的には、幻覚や幻聴、妄想などです。
陰性症状
陽性症状とは反対にあるはずのものが低下している状態です。その状態とは、喜ぶ、怒る、哀しむなどの感情が乏しくなり、表情の変化も少なくなることです。また、意欲が減退し、何事にも関心が薄く、身だしなみにも無頓着になります。家族や友人を含め、他者とのコミュニケーションも避けるようになります。
認知機能障害
認知機能とは、記憶をはじめ、注意を集中させたり、計画を立てたり、判断したりする能力のことです。この認知機能は統合失調症になると低下すると言われています。
治療について
治療は抗精神病薬による薬物療法が中心です。抗精神病薬が脳内の過剰なドーパミン神経の活動を抑えることで、症状の緩和が図られます。しかし、薬物療法だけで回復に至らない重症の患者さんの場合だと入院治療や電気痙攣療法などの治療が必要になることもあります。その他、陰性症状や認知機能障害に対しては、社会機能の低下を防ぐ目的で、SST(社会技能訓練)、グループで活動する集団精神療法、レクリエーション療法など用いられます。