強迫性障害
強迫性障害とは、自分の意思に反すると理解はしていても、不安やバカバカしい考えが浮かんでしまい、時にそれを打ち消そうと確認行動や手洗い行為に時間を費やしてしまう障害です。その背後には、「本当に大丈夫だろうか」という物事に対する強い不安や自己感覚に対する不信感があることが、症状を引き起す誘因とされています。その意味において、本障害も、パニック障害や社交不安障害などと同様に不安障害の一つであると言えます。強迫症状の代表的なものとして、外出時に玄関の鍵やガス栓などを何度も閉め忘れてないか確認する、汚れや細菌汚染を恐れるあまり頻回に手を繰り返し洗い続ける、そして不吉な数字やジンクスを気にするなどが挙げられます。
最近の脳科学的な研究からは前述のように、脳内のセロトニンの機能異常を示唆する報告が多く認められます。しかし、背景には元来からこだわりが強い完璧主義や心配性、過度な几帳面などの性格特徴が、発症に影響を強く与えていると考えられます。
薬物療法では、SSRIやクロミプラミンなどを使用することが多いですが、薬物療法効果は5~6割程度であると言われています。精神療法では、症状場面に何度も直面させながら、その状態に徐々に馴化させていく暴露妨害法や、強迫症状以外に目を向け本来の日常生活へと取り組みの目を向けさせていく森田療法が挙げられます。